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徒然草

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大火葬戦史外伝 ザンショが厳しい残暑

 一九四一年八月三〇日。
 夏が終焉に向いつつあるとはいえ、窓の外を見れば景色が揺らぐほどの厳しい残暑。昨日も熱中症で何名かが病院に運ばれたという話も聞こえてくる。
「こんな日は一日、冷房の効いた部屋にいるに限るな」
 外で働く労働者が聞いたら、その綺麗に剃った頭を木魚のように叩きたくなるセリフを口にするのは永野 修身軍令部総長であった。
 大阪は梅田の官庁街にそびえ立つアンバランスな軍令部のビルディングは冷房が完備となっており、どれだけ日が照り返そうとも、どれだけ吹雪こうとも室温は二六度に定められている。永野はこんな快適な軍令部の一室でタバコをふかす日々が続いていた。
 永野は実務をほとんど次長以下の部下にまかせっきりで、自分は責任だけ取ることにしているから、こういう真似ができるのだ。もっとも居眠りの名人としても知られる永野は幣原 喜重郎首相らとの会議の最中もうとうとしていたらしいので、仕事を部下に任せようが任せまいが大して変わることはないのではないか、という意見もある………。
 ともかく、タバコをふかしながら大阪駅のキオスクで買った週刊誌に目を通すのにも飽きてきた永野は、気分転換のために軍令部の自動販売機コーナーに行く事にした。キンキンに冷えたコーラでも飲んで、昼寝でもすることにしよう。
 そういうわけで自動販売機の前に姿を現した永野だったが、ここにきて予想外の事態が発生した。
 永野の財布の中に硬貨が一〇〇円玉一枚しかなかったのである。自動販売機で売られている飲み物はすべて一二〇円。これでは買えない。
 釣りがかさばるのは癪だが、一〇〇〇円札で買おうかとも思ったが、あいにく永野の財布には一万円札が四枚しかなかった。軍令部の自動販売機では万札は使えないのだ。
「むぅ、喉が渇いたのにこれでは困るな………」
 永野は頭を撫でながら辺りを見回す。
 ………うん、みんな忙しそうだ。「ジュース買うから二〇円貸して!」とは言い難い状況だな。
 かといって外に出るのも論外である。何せ外は厳しい残暑だ。一歩でも出ようものなら溶けてしまうに違いない。
「ああ、困った困った………」
 しかし困った時こそチャンスが訪れるものである。永野は目の前の自動販売機にあるモノが売られていることに気付いたのだ。 [大火葬戦史外伝 ザンショが厳しい残暑]の続きを読む
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  1. 2007/08/30(木) 19:36:21|
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